新宿高野本店

fluitfullifestyle

11月号

2018 November

No.66

宮城県 “洋梨” ゴールド  ラ・フランス

ゴールド ラ・フランスは、ラ・フランスから枝分かれした品種です。
収穫するタイミングの見極めが全て! それが美味しい洋梨づくりに不可欠な要素です。
洋梨の希少品種のご紹介です。

特集メインイメージ

きめ細かくクリーミーな肉質と 深く豊かな味わいが特徴

今回特集するゴールド ラ・フランスは、ラ・フランスに比べてきめ細くクリーミーな肉質と深く豊かな味わいが特徴です。病害虫に弱く、果実も大きくなりにくいため、生産者も生産量も少ない希少価値の高い品種です。蔵王連峰の麓で祖父の代の昭和30年代から洋梨の栽培を始めた「不忘(ふぼう)果樹園」の7代目オーナー・山家(やんべ)一彦さんにお話しを伺いました。
ゴールド ラ・フランスは、「適期に収穫すること」が美味しい品質の全てだそうです。収穫のタイミングによって品質が変わってしまい、早いと食味が悪く、追熟してもやわらかくならない果実が発生し、また遅いと独特のとろっとした肉質が損なわれ、果肉が褐変する障害が発生する場合があります。それまで1年間積み重ねてきたものが無駄になることもあるそうです。 収穫適期の判断は、果実そのものは外見上何の変化もないため、大変難しいのが実情です。
また収穫後の予冷追熟の管理も重要です。 洋梨栽培はこれがとても難しく、反面これらの見極めが上手に行くと本当に美味しいものが出来上がるそうです。また収穫量が多いと品質、食味が落ちるため、75%程度に抑えるそうです。このような毎年毎年丹精を込めたこれらの作業の積み重ねで、はじめて美味しい洋梨を食べることができるのです。
山家さんが心がけているのは「最終的には食べていただく皆さんがいる。」ということです。そのためには非効率でも手をぬかないことが大切で、そのためには土づくりが一番。堆肥等の有機物を投入し、肥料も有機物中心で土の中に微生物がより多く生きられるようにすると、樹の根が活性化し、健康な樹になるそうです。健康な果樹をつくることが病害虫に侵されない最善の方法との考え方から、堆肥の投入や園地に草を生えさせ、草を伸ばし年に12回も刈り取りして園地の有機肥料にするそうです。そして、エコファーマートして環境に優しい持続性の高い農業生産方式に取り組んでいます。畜産農家や精米所と契約し有機主体の肥料管理を行い、循環型農業を目指しています。また、除草剤などは使用せずに、生態系や環境に配慮した意識の高い農業が行われています。

岡山県 “ぶどう” 紫苑(しえん)

岡山県では県を代表する高級品種「マスカット・オブ・アレキサンドリア」をはじめ、バリエーション豊かなぶどうが栽培されています。
今号では、赤ワインを思わせる上品な色合いの果粒が目を惹く冬ぶどうの「紫苑(しえん)」をご紹介します。

特集メインイメージ

職人気質の生産者が作り上げた 冬に楽しめる「紫苑」

岡山県は5月下旬頃を皮切りに、様々な品種のぶどうを出荷しています。その中でも10月下旬から12月中旬まで出回る、冬の時期も楽しめるぶどう「紫苑」は、糖度が高くジューシーな食味と見た目も華やかなワインレッドの外観から年々人気が高まっています。
「紫苑」栽培のパイオニア的存在の岡山県温室園芸農業協同組合の理事を務める林修吾さんにお話を伺いました。
「20年ほど前に、ぶどうの新しい品種は無いかとトルコに行くなどして探していたんです。それでもなかなか良い品種に巡り合わず、改めて日本で開発された品種の中にひょっとしたら良いものがあるのでは、と思っていたところ『紫苑』に出会いました。元々は栽培が難しいと判断されていた品種で、育種した種苗メーカーもあまり注目していなかったようで、苗木もほとんどない状態でした。『紫苑』を栽培するための情報は、全くない状態からのスタートだったのですが、なんとか実らせることができ、果肉がしっかりしていたことから、これは見込みがあると考え5年間ほど試験栽培をしました。そして平成14年から岡山県で本格的に栽培が始まるまで栽培技術を確立するのに本当に苦労しました。」
林さんは長年栽培してきた「マスカット・オブ・アレキサンドリア」で培った技術と、自身の持っている知識をすべて使い、試行錯誤を重ねて栽培技術を構築したそうです。 今では林さんの園地は自身で考案した、肥料や水などをコンピューターで管理する養液栽培方式で育てています。生育期や天候に合わせて肥料や水の量を調整するなど、すべてをデータ化し、コントロールしています。岡山県の生産者は、職人気質の方が多く、こだわりを持って栽培されています。それゆえ栽培の難しい「紫苑」を高い品質で出荷できるのです。岡山県が国内生産量ナンバーワンの、冬に味わえるぶどうをお楽しみください。

長野県志賀高原 “りんご”

「気候」「地形」「昼夜の寒暖差が大きい」など、町外の生産者も羨むほどの果樹栽培に適した長野県山ノ内町。
「サンふじ」をはじめ、シナノスイートなど、標高2000メートルの志賀高原の清らかな水から生まれた最高品質の長野県産りんごをご紹介します。

特集メインイメージ

奥が深いからこそ作るのが楽しい。 生産者を魅了する「サンふじ」

長野県の北東部に位置する山ノ内町は、ユネスコエコパークに登録された自然に恵まれた観光地であり、気候や地形、志賀高原から流れ込む清流と澄んだ空気など、果樹栽培にとって最高の条件が揃った適地です。降水量も少なく、500〜700mの標高があり寒暖差も大きく、南西斜面で小高い山に囲まれた地形。朝一番の日射しは山の陰になり入ってこない。その代わり、秋になると日が沈む寸前まで日が当たるという園地。そのおかげで枝が余分に伸びすぎず、葉が光合成をしっかり行うことができ、それにより実の引き締まった、鮮やかなりんごが実りやすい樹に成長します。
「果物を作るには日本で一番良い地域だと、よく言われます。ここで果物を作らないともったいないと思いましたね。」と話してくれたのは、主に「サンふじ」を栽培する、悠久ファームの瀧澤敏さんの息子さんの諒さん。10年ほど前からお手伝いするようになり、今では「サンふじ」をいかに美味しく実らせるかを日々勉強しています。長野県のオリジナル品種のシナノスイートやシナノゴールドも人気が高いのですが、授粉から収穫まで全ての工程が一番難しい「サンふじ」の栽培は別格です。こだわりは、原木に近い樹で栽培すること。きれいに着色させ美しい形に実らせるまで、大変な努力が必要ですが、何よりも味の違いがハッキリでるので苦労は惜しまないそうです。「樹の本来持っている力を最大限に活かすため肥料には頼らず、その代わり技術があれば、りんごは美味しくなる。だから面白いのです。」と話す瀧澤敏さん。
美しい色味と形で美味しさの違いが出るという「サンふじ」。酸味と甘みが絶妙な、美しく色づいた山ノ内町産りんごの美味しさを、ぜひ味わってください。

  • 特集サブイメージ小
    サンふじ
  • 特集サブイメージ小
    シナノスイート
  • 特集サブイメージ小
    シナノゴールド
  • 特集サブイメージ小
    秋映

新潟県 “洋梨” ル・レクチェ

洋梨の品種と言えば主に「ラ・フランス」が知られていますが、日本では多数の品種が栽培されています。
その中でも全国生産量の約8割を新潟県が栽培している品種「ル・レクチェ」をご紹介します。

特集メインイメージ

輝く黄金色の果皮・ 芳醇な香り 甘くとろけるよう食感が魅了します

「ル・レクチェ」の苗木がフランスから新潟県に導入されたのは、明治36年頃(1903年)と歴史は古く、当時は栽培方法が知られておらず細々と作られていたそうです。それでも「ル・レクチェ」の美味しさは自然と広まり、今では国内生産量の約8割が新潟県で栽培されています。
お父様の代から70年以上「ル・レクチェ」の栽培をしている、盈科(えいか)農園代表取締役の児玉恒幸さんにお話を伺いました。父親の時から「ル・レクチェ」の美味しさは認識されていたそうですが、病気になりやすく、すぐに傷んでしまうなどまだまだ作るのが難しく、本格的に栽培をする生産者は少なかったそうです。しかし、児玉さんが栽培を始めた35年前ころから、農薬などの進歩もあって栽培方法も確立されていき、収穫量も増えていきました。とにかく難しい品種ですが、新潟県の高温多湿な気候には合っていたようです。10月中旬から収穫が始まるのですが、その後40日間ほどかけて保冷庫で温度を調整しながら追熟をして、やっとはじめて出荷できる非常に手間のかかる洋梨。追熟の管理から選果、袋詰めまですべて児玉さんたちが作業しています。一個一個手で丁寧に扱わないと、傷んでしまうほど繊細です。新潟では出回り始める11月下旬から「ル・レクチェ」一色になります。県外の方にはあまり知られていないので、児玉さんたち生産者の方々も、ぜひこの美味しさを広めたいそうです。
11月下旬から12月下旬までの約1カ月しか出回らない、なかなかお目にかかれない洋梨「ル・レクチェ」。食べごろの果皮は黄金色に輝くブライトイエローに色づき、なめらかでとろけるような果肉からあふれる果汁、そして口に広がる上品な香りが特徴の「ル・レクチェ」をぜひ味わってください。