生産者の想いをつなぐフードロス削減への取り組み
桃の美味しい季節がやってきました。美味しい桃には生産者のたゆまぬ努力と深い愛情が注がれています。また、美味しさだけではなく産地や品種によっては、綺麗なピンク色を出すために袋掛けをしたり、日差しの妨げになる枝や葉を取り除いたり、太陽の光を果実に満遍なく当てるために地面に反射シートを敷いたりする作業が行われています。
タカノフルーツパーラー新宿本店では通常、桃は皮をむいて使用しており、桃の旬となる7・8月には一日1~2kg分の皮を剥きます。実と皮の間が一番甘いと言われており、その部分を皮と一緒に捨ててしまうのはもったいない、またフードロス削減の観点からも綺麗に色づいた皮の部分をなんとか有効活用できないかと試行錯誤を重ねて来ました。その中で、生まれたのが「桃の皮煮ソース」です。今から約11年前に考案され約8年前よりメニューに使用しています。
レシピとしてはシンプルで、よく洗浄した皮を使用し、グラニュー糖と水を一緒に軽く煮込み(アクを取りながら)、粗熱を取ったら濾して完成です。ただメニューに使用できるレベルに仕立てるのは簡単ではありませんでした。糖度のバランスにより綺麗なピンク色が出ない為、一番きれいな色味と甘みが出るように調整が必要で、使用する皮の量により色味が変わってしまう為、皮の選別も重要になってきます。
桃の果肉だけを使用したソースは白いが、皮を加える事で綺麗なピンク色になる。皮を入れる事で本来の桃の香りもプラスされる。実と皮の間の美味しい部分を加える事で味に深みが出る。そんな桃の皮の特徴を生かしたソースが、約3年の開発期間を経て完成したのです。
今では、シャーベット、グラニテにも使用し、桃の魅力を余す事なくメニューの中で表現しています。味や食味だけではない生産者の想いをタカノフルーツパーラーはこれからも大切にしていきたいと考えています。