5月号
2015 May
No.24
5月のコースは房州枇杷とはしりの時期のさくらんぼや桃を使ったコースです。はしりの時期とは果物が最盛期を迎える前の出始めの頃をさしています。はしりの時期の果物は価格が高いのが一般的です。その意味では5月のコースは内容が贅沢とも言えます。テーマフルーツの房州枇杷ですが、昨年あたりから人気が出てきているフルーツです。私達が子供の頃は、柿や枇杷、無花果などは自分の住んでいる街の庭先などで見かける果物でした。お金を出して買って食べる果物としては馴染みが薄かったと思います。そして時代を経て現在は、昔からある果物である柿や枇杷、無花果などの人気が高まっています。タカノフルーツパーラーでも、柿のパフェや枇杷のパフェをわざわざ食べに来た、というお客様もいらっしゃいます。特に房州枇杷は肉厚で食感があって人気があります。一方枇杷はフルーツの中でも仕立てるのが難しいフルーツです。皮をむいているそばから変色したり、果肉の内側の種や薄皮をきれいに取り除くのが大変です。フルーツクチュリエの腕の見せどころは、枇杷を半分に割らずに、1カ所だけ切れ目を入れて皮をむいた丸ごとの実のままの状態で中の種を取って、種と実の間にある薄皮をとって果肉だけにする技術です。それと枇杷は味や香りもデリケートです。枇杷の美味しさを如何にしてパフェやコースに仕立てるかがフルーツクチュリエの腕の見せどころです。果物の美味しさは、ただ糖度の高さだけで決まるものでは無く、それぞれの果物ごとの糖度と酸味のバランスやジューシーさ、新鮮な食感など、様々な要因で美味しさが構成されています。フルーツにはそれぞれのフルーツが持つ「美味しさの層」というようなものがあると私は思っています。マンゴーならマンゴーの、桃なら桃特有の美味しさの層があって、枇杷には枇杷のデリケートな品のある独特な美味しさの層があります。この枇杷の持つ「美味しさの層」を大切にしてコースに仕立てていきます。またタカノフルーツパーラーのフルーツコースは、スイーツやデザートなど甘いものだけでの構成ではなく、肉や魚、野菜などを使用している点も特徴の一つです。そしてもう一つ今回のフルーツコースの特徴としては、寒天やあんこなどの和食材を意識した点です。フルーツパレットの中の枇杷の一品は、和食材の寒天を使用しピーチ風味のゼリーと合わせたものです。Hotデザートはあんことホイップクリームが中に入ったパイの上に枇杷をのせて、ピスタチオとカスタードのソースを添えています。その他、メニュー内容としては「さくらんぼと豆乳のスープ」、「鶏むね肉のロースト〜夏野菜添え〜」、そして枇杷も含めた「季節のフルーツ盛り合わせ」などで構成されています。タカノフルーツパーラーのフルーツコースは、毎月テーマフルーツとメニュー内容が丸ごと変わります。それを毎月楽しみにしていただいて、10年来通っていただいているお客様もいらっしゃいます。我々フルーツクチュリエは、このようなお客様の期待に応えられるように、日々様々なことにチャレンジしていきたいと考えています。