タカノフルーツパーラー新宿本店では、毎月旬のフルーツをテーマに、年間12種類のコースメニューをご用意しています。その中でもマスクメロンのコースは特別で、マスクメロンという名前の由来でもある「気品ある香りの良さ」をいかにお客様にお届けするかに心を砕いてメニュー作りをしています。マスクメロンは「ムスク（香水で有名な麝香：じゃこう）のように良い香りのメロン」ということから命名されています。それほどフルーツの中でも群を抜いて香りが良いと言うことです。さらに、マスクメロンに限らず、概して香りは非常にデリケートです。肝心なのは、とろけるような美味しい芳醇なマスクメロンの味と共に、そのデリケートな香りの特性を見極めて、コースに仕立てることです。例えば、他のフルーツの場合、特にお客様のご要望もありそのテーマフルーツを使用した「温かいメニュー」を必ず加えますが、マスクメロンに関しては、そのフレッシュな香りをそのままお客様に味わっていただくために一切火を通すことはありません。また時間が経つと香りが飛んでしまうので、常に「切り立て」でご提供します。ちょうど食べ頃の網目も美しいマスクメロンをザクッと切り、その切り口から立つ気品ある香り。この香りを本当にそのまま、その場でお客様にお届けしたい。そしてコース全体としても、そのマスクメロンの美味しさを食感、風味など様々な味わいを楽しんでいただけるようにメニューを考えています。果肉を包丁で叩いて上に生クリームとマヨネーズを合わせたソースをかける、

甘さと塩気のハーモニーが絶妙なマスクメロンのカルパッチョ。秘伝の隠し味が利いているマスクメロンのスープは、網目が美しいマスクメロンの皮を活かした器に注ぎ、このコースをビジュアル的に特徴付けています。そしてマスクメロンとオマール海老にチーズ系のオランディーズソースをかけて、アクセントにキャビアを添えたメインディッシュ。こちらもメロンの甘味とオマール海老の塩味、そして食感のバランスが絶妙です。また試行錯誤の結果たどり着いた「マスクメロンと豆乳のアントルメ」は、素材の相性の良さが際立つ一品です。実は、マスクメロンと季節のフルーツの盛り合わせがタカノフルーツパーラーのメインです。ここにフルーツ専門店のこだわりがあります。実際フルーツ盛りだけは、独自のパフォーマンスが許される唯一のメニューです。いかに美しく魅力的に盛り付けるか。カットの力量も出ます。このフルーツ盛りの素晴らしさで、指名が入るくらいになれと、各フルーツクチュリエに言っています。この隠れメインディッシュも含め、贅を尽くしたマスクメロンコースをぜひこの機会に、あらためて味わっていただければと思います。



※フルーツクチュリエ（タカノではパーラーの職人をパティシェやシェフでもない、タカノ独自の職業として、こう呼びます）